
Q
抗ヒスタミン薬は眠気が強いほうが効果も強いのでしょうか?
A
必ずしも眠気が強い薬が効果が強いというわけではありません。
抗ヒスタミン薬の眠気は、脳内のH1受容体という部分に薬が結合することで起こります。一方、花粉症の鼻水や鼻づまりなどの症状を改善する効果は、鼻の粘膜にある受容体への作用によるものです。つまり、薬理作用的に眠気を起こす作用と症状を改善する作用は無関係と言えます。
実際に、かゆみを伴う皮膚疾患(アトピー性皮膚炎、蕁麻疹)を有する患者を対象に鎮静性の抗ヒスタミン薬であるd-クロルフェニラミン(ポララミン)、ケトチフェン(ザジテン)と非鎮静性のベポタスチンベシル酸塩(タリオン)を投与して、眠気とかゆみの抑制効果の程度について検討した報告があります。この報告では鎮静性の抗ヒスタミン薬で眠気が見られたものの、かゆみを抑制する効果としては両者は同等の有効性を示していました1)。
また、抗ヒスタミン薬が処方されているアトピー性皮膚炎患者を対象に行ったアンケート調査でも、抗ヒスタミン薬投与後に患者自身が自覚した眠気は薬剤間で程度に差があることが確認されたものの、かゆみ抑制効果において有意差は認められなかったと報告されています2)。
花粉症の季節になると「眠気が強い薬ほど効く」とするグラフがSNSで拡散されているのを見たことがある人もいるかもしれませんが、これらの多くは個人の主観的な印象に基づくものであり、医学的な根拠がないものがほとんどです。効果が同程度であることから、日中の眠気や倦怠感、仕事や勉強、車の運転などへの支障を避けるためにも、眠気の少ない薬を使用することをお勧めします。
参考文献
(1)臨床医薬 27 (8) 563-573, 2011.
(2)皮膚アレルギーフロンティア 3 (4) 268-271, 2005

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