薬局風景

コラムColumn

#在宅医療ナビ

メトロ調剤薬局ではさまざまな施設における薬の管理を請け負っています。

施設には多くの種類があってそれぞれに違いがあるので、混乱したり難しく感じたりすることもあるのではないでしょうか? 

この「在宅医療ナビ」のコーナーでは、加算や施設基準など在宅医療にまつわるトピックを解説します。

まずは施設の違いや、それぞれの施設における薬剤師の関わりについて、一つずつ確認していきましょう。

第1回は養護老人ホームについて!

養護老人ホームってどんな施設?

養護老人ホームとは、環境上の理由、経済的理由で困窮した高齢者が、自立した日常生活を送り、社会活動に参加できるようにするための施設です。

養護老人ホームの根拠となる法律として「老人福祉法第20条の4」が挙げられます。

(養護老人ホーム)
第二十条の四 養護老人ホームは、第十一条第一項第一号の措置に係る者を入所させ、養護するとともに、その者が自立した日常生活を営み、社会的活動に参加するために必要な指導及び訓練その他の援助を行うことを目的とする施設とする。

「老人福祉法第11条第1項、老人ホームへの入所措置等の指針 第1」には次のような記載があります。

(老人ホームへの入所等)
第十一条 市町村は、必要に応じて、次の措置を採らなければならない。
一 六十五歳以上の者であつて、環境上の理由及び経済的理由(政令で定めるものに限る。)により居宅において養護を受けることが困難なものを当該市町村の設置する養護老人ホームに入所させ、又は当該市町村以外の者の設置する養護老人ホームに入所を委託すること。

つまり養護老人ホームとは、現在置かれている環境では生活が難しかったり、経済的にも問題があったりする65歳以上の高齢者(例外あり)が、市区町村長の措置によって入所することができる施設と言えるでしょう。

具体的には以下のような入居者像(一部)が想定されています。介護施設という扱いではないため、基本的には介護サービスは受けられません。

  • ・独居の高齢者
  • ・無年金など経済的に困窮した方
  • ・虐待を受けている高齢者
  • ・要支援者
  • ・要介護者
  • ・身体的な障害をお持ちの方
  • ・認知症や、精神的な障害をお持ちの方
  • ・他の法律に基づく施設に入所できない高齢者
  • ・ホームレスの方
  • ・以前に犯罪を犯した方
  • ・賃貸住宅から立ち退きを受けた方

(参考)公益社団法人 全国老人福祉施設協議会発行, 高齢者の生活を守る養護老人ホーム, https://www.mhlw.go.jp/content/12201000/000656699.pdf(2025年4月25日参照)

養護老人ホームは上述したような状況に置かれている入居者が、自立した生活を遅れるように支援を受けながら社会復帰を目指すことを目的としています。

自立した生活を送れるようになったら退去することになるため、長期的な利用は想定されていません。

食事の提供、自立した生活や社会復帰に向けての様々な支援を受けることができます。

職員配置は施設長(1名)、医師(適当数)、生活相談員(30人ごとに1名)、支援員(15人ごとに1名)、看護師(100人ごとに1名)、栄養士(1名以上)、事務員(適当数)、調理員(適当数)など。

薬剤師の配置義務はありません。

居宅と同様にかかりつけ医から院外処方せんが発行され、薬局で外来処方として対応します。

医師の配置義務があるため、どちらも算定できません。

次回予告

次回は「特別養護老人ホーム」について!

名称は似ていますが、どんな違いがあるのでしょうか?

お楽しみに!