薬局風景

コラムColumn

長沼店にて、久光製薬株式会社様のご協力によりジクトルテープに関する勉強会を実施しました。

まとめと情報共有を兼ねて、今回学んだ内容をご紹介します。

2021年に発売された有効成分ジクロフェナクナトリウムを含む全身作用型の貼付剤

従来の湿布薬とは異なり、貼った部位から薬の成分が血液中に吸収され、全身に運ばれて痛みのある部位で効果を発揮する。

適応症

  • 各種がんにおける鎮痛
  • 腰痛症、肩関節周囲炎、頸肩腕症候群、腱鞘炎における鎮痛・消炎

・用法・用量

  • がん疼痛:1日1回2~3枚
  • その他の疾患:1日1回1~2枚
  • 貼付部位:胸部、腹部、上腕部、背部、腰部、大腿部

1. 全身作用型

一般的な局所作用型の湿布とは違って全身に作用するため、複数部位の痛みにも対応できる。

2. 安定した血中濃度を維持

貼付後約8時間で最高血中濃度付近に達し、その後安定した血中濃度を24時間維持する。

3. 消化管への影響が少ない

胃への直接的な曝露がなく、徐放化により適切な血中濃度で効果を発揮するため、消化管への負担軽減が期待できる。

・推奨貼付部位

汗をかきにくく、皮膚の伸び縮みが少ないため剥がれにくい部位である上腕部がおすすめ。

・貼付方法

貼付時は手のひらで10秒程度しっかりと押さえることで剥がれにくくなる。

・貼り替えのタイミング

入浴時の貼り替えが推奨。24時間に近い間隔で貼り替えることで、安定した効果が維持できる。

・貼付部位は毎回変更する

同じ部位に連続して貼ると皮膚炎の原因となるため、前回とは異なる部位に貼付する。

・24時間貼付を継続する

薬剤の半減期が約3時間と短いため、剥がしてしまうと効果が急速に低下する。

痛い時だけ貼る、貼らない日がある、短時間の使用では期待する効果が得られにくい。

・スースー感(清涼感)は全くない

スースー感を求める患者さんには向かないかもしれない。

・経口薬からの切り替え

立ち上がりに時間がかかるため、切り替え初期の3日間程度は頓服薬の併用も検討できる。

・63枚制限の対象(がん疼痛を除く)

ほかの湿布と合わせて合計63枚までの制限あり。

 処方枚数制限についてはこちらの記事(↓)を参照してください。

主な副作用は貼付部位の痒みや赤み。

皮膚の弱い方では特に注意が必要で、強い皮膚症状が現れた場合は他の治療法への変更を検討する。

ジクトルテープは以下のような患者さんに特に適している:

  • 複数部位に痛みがある方:全身作用型のため、複数の痛みに対応できる
  • ・経口投与が好ましくない方:嚥下困難や胃腸の問題がある方
  • ・経口薬を減らしたい方:服薬負担の軽減を希望される方
  • ・痛みで睡眠が妨げられる方:安定した血中濃度により夜間の痛みも持続的にコントロールできる

ジクトルテープは、全身作用型の特性を活かし、消化管への影響を抑えながら持続的な鎮痛効果を期待できる貼付剤です。ただし、効果を最大限に発揮するためには、24時間の継続貼付と適切な部位への貼付が重要です。

ご使用に際してご不明な点がございましたら、お気軽に薬剤師までご相談ください。患者さん一人ひとりに最適な薬物療法を提供できるよう、今後も研鑽を積んでまいります。